「カラフル」 森絵都著 3階-一般書架(913.6//ME)
「他人、それは地獄」。
前世紀のフランス人サルトルが残した言葉だ。元々は、他人からの視線によって自由を失い、他人の目に映る存在として自分を固定されてしまうという意味だ。
だが、近年この言葉は、そのままの意味でつかわれることが多いそうだ。
どのような意味かというと、家庭、職場、学校で人間関係につまずき、互いを理解することができなくなるも、その場所の特性上いやでも毎日顔を合わさなけれまならない。そして理解からさらに遠ざかり、悪循環に陥る。という意味だ。
森絵都の小説「カラフル」には、そんな奥循環に陥ったあげく、自殺を図った少年が、生き返るチャンスを与えられ、この悪循環を終わらせる姿が描かれている。そのリアルな人間関係ゆえに、この悪循環に悩んでいる人にとって参考とするところも多いだろう。一読してみることをお勧めする。